円をめぐる冒険(ユークリッド幾何学初心者でもたのしめる!)

数学

「円をめぐる冒険―幾何学から文化史まで―」は Alfred S. Posamentier & Robert Geretschlagerによって書かれた「The Circle: A Mathematical Exploration beyond the Line」が日本語訳されたものです。

訳は松浦俊輔さん(Alfred S. Posamentier「不思議な数πの伝記」、「不思議な数列フィボナッチの秘密」などの翻訳も手掛ける)によって翻訳されています。

この記事ではこの「円をめぐる冒険」で学べる事を紹介します。

また、円と芸術の関わりについても書かれている部分を紹介します。

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ユークリッド幾何学の基本から

まずこの本を読み進めるにあたって、中学や高校で学習した内容を第一章で復習します。

そのため、幾何学をまだ勉強したことがあまりないという方でも安心です。

復習としては主に数Aの範囲の幾何学が登場します。

方べきの定理や円周角の定理などの基礎から書かれています。

高校などで幾何学をきちんと勉強していた方はこの部分を読み飛ばしても大丈夫です。

接線(tangent)や割線(secant)などの定義などもされます。

そして、同じ第一章でルーローの三角形に触れます。

ルーローの三角形とは、正三角形の各点を半径の等しい円の円弧でそれぞれ結んだ図形です。

見た目としては「円」っぽいような「三角形」っぽいような図形です。

このルーローの三角形は円と同じ「定幅図形」の一つです。

すなわち、直線上でこの図形を転がしても平行な、一定の幅を保つような接線で挟み込むことができます。

工業的にも用いられてきた歴史があり、発明当時は画期的でした。

「ルーローの三角形」を使うことで正方形に近い形を掘れるドリルや、エンジンにも応用されたそうです。

第一章でこのような面白い性質をもった図形について紹介しているのは興味深いですね。

各頂点が円周上にある四角形

※desmos geometryを使用

平面幾何

基本の後はヘロンの公式、ブラーマグプタの公式に関する面積の話から始まります。

その他にもシムソン線などの性質についても触れています。

高校数学までの範囲だと、数研出版の青チャートに出てくるようなトピックも出てきます。

学校ではあまり味わえない「純粋な幾何学」を楽しめます。(何をもって純粋であるかは個人によると思いますが。)

数値計算をするのではなく、ユークリッド幾何学の性質を使って文字を使って一般化するのもたまにはいいですよね。

幾何学が苦手でも、一通りの証明を楽しめると思います。

円という特別な図形が嬉しい性質を多角形にもたらしてくれます。

円充填問題

ある図形を円で埋める際に、最も隙間を小さくするような円の置き方は何か。

次はそのような問題にアプローチします。

正三角形や円などを、円で敷き詰めていく中で最適な円の置き方を見つけていきます。

正方形を半径が同じ円で敷き詰めるにはどのような方法が最適化は何となく想像できそうですよね。

(下図: Square PackingよりHexagonal Packingのほうが密度が高い)

しかし、平面上をすべて円だけで覆う時の最適な置き方は何なのかは、しばらく未解決でした。

この本ではそのような円充填問題についても書かれています。

Square Packing

Square Packing

Hexagonal Packing

Hexagonal Packing

球面幾何学

ユークリッド幾何学のみならず、球面幾何学にも触れられています。

球面幾何学は非ユークリッド幾何学の一種で、平行線が存在しない世界になっています。

特徴の一つとしては「球面上の三角形の角の和が180°より大きく、540°より小さい」というものがあります。

このような、普段はあまり考えない幾何学の世界を味わえます。

小中高ではユークリッド幾何学しか学習していないだけあって、球面幾何学は私にとってはかなり新鮮でした。

円とアート

この本の第9章と最後の章では、円の文化との関わりについて書かれています。

円についての問題に格闘してきた人類の歴史や芸術への利用に関しても記述されています。

エッシャーによる「Circle Limit lll」といった幾何学を用いた芸術作品などが紹介されています。

その他にも有名企業のロゴに登場する円のアート、古代ローマの建築物なども登場します。

円を使うことで美しい芸術が現れることが改めて実感できます。

まとめ

この記事では「円をめぐる冒険―幾何学から文化史まで―」について紹介しました。

円の基本性質から芸術とのかかわりまで幅広く取り扱われています。

そして、円についての面白い話題に出会える本になっています。

気になった方は購入してみてはいかがでしょうか。

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